消費税の仕訳とは?税抜方式で仮払・仮受から決算までわかりやすく解説
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こんにちは。まねきねこ(@lucky_cat_037)です。
買い物のレシートには、商品の代金とは別に、消費税の金額が印字されています。私たちが日々の買い物で払っている税金です。
ところが、簿記3級で学ぶ帳簿のつけ方では、お店が受け取った消費税を売上に入れません。受け取ったのに売上にならない。ここが、消費税の仕訳でつまずきやすいところです。
じつは、消費税の仕訳は「会社は消費税を負担していない」という一点から、すべて説明がつきます。この記事では、消費税を帳簿にどう記録するのかを、簿記3級で学ぶ税抜方式にしぼって解説します。仕入のとき・売上のとき・決算のとき・納付のときの4つの場面について、なぜそう書くのかという理由と、実際の仕訳を、順番に見ていきます。
この記事を読むと、以下のことがわかります。
- 消費税を負担しているのはだれか・なぜ仕入や売上と分けて記録するのか
- 仮払消費税が資産に、仮受消費税が負債になる理由
- 仕入・売上・決算・納付の4つの場面の仕訳
なお、この記事で扱う消費税の処理は簿記3級の試験範囲です。3級で扱う消費税の記帳方法は税抜方式で、仮払消費税・仮受消費税・未払消費税はいずれも3級で使う勘定科目です。商品の代金と消費税を分けずに記録する税込方式もありますが、この記事では扱いません。

レシートに書いてある消費税って、お店の儲けになるんじゃないの?

そう思うよね。でも消費税は、お店が受け取ったあとで国に納めるお金なんだ。お店のものにはならないんだよ。まずは、そのお金がどう動くのかを順番に見ていこう!
消費税とは?会社は税の「通り道」にすぎない
消費税は、商品やサービスを売り買いしたときにかかる税金です。買い物をするとき、私たちは商品の代金に消費税を上乗せして払っています。
一方、その消費税を国に納めるのは、買い物をした消費者ではありません。受け取ったお店や会社が納めます。消費税は、負担する人と納める人が違う税金なのです。
- 負担する人=商品を買った消費者
- 納める人=商品を売ったお店や会社
会社の側から見ると、消費税は3つの向きに動きます。①商品を仕入れるときに、仕入先へ消費税を払う。②商品を売るときに、買い手から消費税を預かる。③預かった分から払った分を差し引いて、国に納める。
このうち①の、仕入先へ払う消費税は、いったん会社が自分のお金で払います。ただしこれは立て替えで、預かった分から差し引いて納めるので、あとで取り戻せます。
ここからは、次の取引を例にして考えていきます。
商品を100,000円で仕入れ、その商品を150,000円で販売した
消費税率は10%とします
この取引では、仕入のときに消費税10,000円を仕入先へ払い、売上のときに消費税15,000円を買い手から預かります。
そして、預かった15,000円から、払った10,000円を差し引いた5,000円が、国に納める金額になります。この3つのお金がそれぞれどこへ動くのか、1枚の図にしてみましょう。

図で金額を追ってみましょう。会社に入ってくる消費税は15,000円、出ていく消費税は10,000円と5,000円で、合わせて15,000円です。入ってきた分と出ていく分がぴったり同じなので、消費税として会社に残るお金は0円になります。
つまり会社は、消費税が通り過ぎていくだけの通り道にすぎません。この一点が、これから見る4つの仕訳すべての土台になります。
なぜ仕入や売上に消費税を混ぜないのか:税抜方式で分けて記録する
では、この預かったお金と払ったお金を、帳簿にどう書けばよいのでしょうか。
仕入という科目で知りたいのは、商品そのものにいくらかかったかです。売上という科目で知りたいのは、商品そのものがいくらで売れたかです。では、消費税はこのどちらの科目に入れるべきでしょうか。
答えは、どちらにも入れません。仕入先へ払った消費税は、あとで差し引ける立て替えです。買い手から預かった消費税は、あとで国に納めるための預かりです。どちらも、商品を仕入れるためにかかった金額でも、商品を販売して稼いだ金額でもないからです。
だから、商品の代金と消費税を分けて記録します。仕入には100,000円だけ、売上には150,000円だけを書き、消費税はそれぞれ別の勘定科目に記録するわけです。この記帳方法を税抜方式といいます。
簿記3級で学ぶのは、この税抜方式です。もし消費税を混ぜてしまうと、商品にいくらかかったのかも、いくらで売れたのかも、帳簿の上では実際より大きく見えてしまいます。分けて記録するのは、そうならないためです。
仮払消費税と仮受消費税:立て替えた税と、預かった税
消費税を分けて記録するといっても、どの勘定科目に書けばよいのでしょうか。仕入と売上のときに使う科目は、2つあります。どちらも、決算で精算するまでのあいだ、消費税をいったん集めておくための科目です。
いったん別の科目に置いておくという書き方は、現金過不足でも出てきます。ちなみに、消費税の科目と現金過不足はどこが同じでどこが違うのか、記事の後半であらためて見ていきます。
仮払消費税は資産:あとで差し引ける権利
仕入のときに仕入先へ払った消費税は、仮払消費税という科目に記録します。
さきほど見たとおり、会社は預かった消費税からこの10,000円を差し引いて納めます。会社の側から見れば、あとで差し引ける権利を持っている状態です。
権利は資産です。ですから仮払消費税は資産の勘定科目になります。
仮受消費税は負債:あとで納める義務
売上のときに買い手から預かった消費税は、仮受消費税という科目に記録します。
預かった15,000円は、会社のものではなく、あとで国に納めるためのお金です。実際に納める金額が決まるのは決算のときで、預かった時点ではまだ確定していません。そこで、預かった金額をそのまま記録しておきます。
会社の側から見れば、あとで納めるための義務を負っている状態です。
義務は負債です。ですから仮受消費税は負債の勘定科目になります。
- 仮払消費税
- 仕入のときに仕入先へ払った消費税を記録する資産の勘定科目
- 仮受消費税
- 売上のときに買い手から預かった消費税を記録する負債の勘定科目
2つの科目の性格がつかめたら、あとは仕訳を書くだけです。ここからは、4つの場面を順番に見ていきましょう。
消費税の仕訳を4つの場面で確認(仕入・売上・決算・納付)
ここまでで、消費税は仕入と売上のときに動き、決算で精算して国に納める、という流れが見えました。あとはそれを仕訳の形にするだけです。
使う例題は、さきほどの取引です。商品を100,000円で仕入れ、150,000円で販売しました。消費税率は10%です。
①仕入のとき:本体と消費税を分けて記録する
商品を100,000円で仕入れ、代金は消費税10,000円とあわせて110,000円を掛けとしました。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 仕入 | 100,000 | 買掛金 | 110,000 |
| 仮払消費税 | 10,000 |
仕入先へ払うのは110,000円ですが、仕入に書くのは商品そのものの100,000円だけです。残りの10,000円は仮払消費税として、仕入とは別に記録します。
②売上のとき:預かった消費税を仮受消費税にする
商品を150,000円で販売し、代金は消費税15,000円とあわせて165,000円を掛けとしました。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 売掛金 | 165,000 | 売上 | 150,000 |
| 仮受消費税 | 15,000 |
受け取るのは165,000円ですが、売上に書くのは商品そのものが売れた150,000円だけです。残りの15,000円は仮受消費税として、売上とは別に記録します。
この時点で、帳簿には仮払消費税10,000円と仮受消費税15,000円の2つが残っています。この2つを片づけるのが、次の決算の仕訳です。
③決算のとき:預かった分から払った分を差し引いて納付額を確定させる
決算では、帳簿を1年分締めるための仕訳をまとめて行います。この決算整理が簿記全体の流れのどこにあたるかは、簿記一巡の記事で全体像を確認できます。
消費税でやることは1つです。仮受消費税から仮払消費税を差し引いて、国に納める金額を確定させます。
15,000 − 10,000 = 5,000。納める金額は5,000円と決まりました。この確定した金額を記録する科目が未払消費税です。
未払消費税は、金額も、納める相手も、納める時期も決まっています。負債として貸借対照表に載る、確定した債務です。
仕訳では、役目を終えた仮受消費税と仮払消費税をそれぞれ消して、代わりに未払消費税を計上します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 仮受消費税 | 15,000 | 仮払消費税 | 10,000 |
| 未払消費税 | 5,000 |
借方の仮受消費税15,000円は、負債を減らす記入です。預かっていた15,000円の義務が、ここでいったん消えます。貸方の仮払消費税10,000円は、資産を減らす記入です。差し引ける権利を使ったので、こちらも消えます。
そして、残った5,000円が未払消費税です。この動きを図にすると、次のようになります。

図のように、2つの科目が1つにまとまります。仮受消費税と仮払消費税は残高がゼロになり、納める金額だけが未払消費税として残るわけです。
この未払消費税は、あとで払うことが決まっている未払金の一種です。同じ「未払」でも、決算で当期分を見越して計上する未払費用とは性格が違います。この使い分けは買掛金・未払金・未払費用の違いの記事で解説しています。
④納付のとき:未払消費税を減らす
決算が終わったあと、確定した5,000円を普通預金から納めたとします。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
| 未払消費税 | 5,000 | 普通預金 | 5,000 |
納める義務を果たしたので、未払消費税を減らします。これで消費税の科目はすべて残高がゼロになりました。最初の図で見た「通り道」が、4つの仕訳を通してそのまま帳簿の上で実現したことになります。

4つ全部やったら、消費税の科目が何も残らなくなったね。

そこが大事なところだよ!残らないのが正しいんだ。仮受消費税や未払消費税が残ったままなら、預かったお金をまだ国に渡していないってことになるからね。
仕訳パターンのまとめ
4つの場面を並べておきます。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | |
| ①仕入 | 仕入 | 100,000 | 買掛金 | 110,000 |
| 仮払消費税 | 10,000 | |||
| ②売上 | 売掛金 | 165,000 | 売上 | 150,000 |
| 仮受消費税 | 15,000 | |||
| ③決算 | 仮受消費税 | 15,000 | 仮払消費税 | 10,000 |
| 未払消費税 | 5,000 | |||
| ④納付 | 未払消費税 | 5,000 | 普通預金 | 5,000 |
4つとも、やっていることは「預かる」「立て替える」「精算する」「渡す」のどれかです。会社の損益に消費税が入る場面は、1つもありません。
試験ではこう出る:決算整理前残高試算表に並んだ仮払・仮受から
4つの仕訳を見たところで、試験での出方も確認しておきましょう。ここを知っておくと、問題を開いたときに何をすればよいかが見えやすくなります。
商工会議所が公開している簿記3級のサンプル問題(第3問)を見ると、消費税は期中の仕訳がすでに終わった状態で出てくる形が主です。決算整理を始める前の残高をまとめた決算整理前残高試算表に、仮払消費税が借方、仮受消費税が貸方に並んでいるところからのスタートになります。
そして決算整理事項の指示は、たった一文です。
消費税の処理(税抜方式)を行う。
これだけです。何をどう処理するかは書かれていないので、さきほど見た決算の仕訳を自分で書けることが求められます。
ただし、期中の取引が未処理のまま出されることもあります。その場合は、まず未処理の取引の仕訳を自分で書いて、仮払消費税・仮受消費税の残高を正しくそろえてから、決算の仕訳に進みます。
答案が精算表の形式なら、この仕訳を修正記入欄に書き込むことになります。修正記入欄の使い方は、精算表の作り方の記事で4つのステップとして解説しています。
答案が貸借対照表・損益計算書の形式なら、未払消費税は負債の側に記入することになります。帳簿の勘定科目を財務諸表の表示科目へ組み替えるルールは、財務諸表の作り方の記事にまとめてあります。
消費税を乗せる取引は問題文で限定されることがある
もう1つ、問題文に次のような断り書きが付いていることがあります。
消費税の仮受け・仮払いは、売上取引・仕入取引についてのみ行うものとする。
現実には、通信費や水道光熱費にも消費税はかかります。そこで、こうした断り書きのある問題では、消費税を乗せるのは仕入取引と売上取引だけと限定され、他の費用の消費税は考えなくてよいことになります。解き始める前に、問題文の断り書きを確認しておきましょう。

問題文にちゃんと書いてあるんだね。読み飛ばしそう。

そうなんだ。だから解くときは、まず決算整理前残高試算表の仮払消費税と仮受消費税を見つけるんだ。未処理の取引が指示されていたら、その分を足してから差し引くんだよ!
同じ一時的な置き場でも違う:現金過不足との比較
最後に、もう一歩踏み込んだ整理をしておきます。一時的な置き場として使う科目に、現金過不足があります。実際の現金と帳簿の金額が合わないときに、その差額を原因がわかるまで入れておく科目です。
どちらも「あとで片づける」ための一時的な置き場という点では似ています。ただし、置いておく理由がまったく違います。
| 現金過不足 | 仮払消費税・仮受消費税 | |
| なぜ置いておくのか | 原因がわからないから | 精算するのが決算のときだから |
| 相手 | わからない | 国と決まっている |
| 片づく時期 | 原因が判明したとき。わからなければ決算 | 決算と決まっている |
| 金額の決まり方 | 数えてみないとわからない | 本体の金額×税率で決まる |
現金過不足は、わからないから置いておく科目です。原因が判明するまで、相手も金額の意味も決まりません。
いっぽう仮払消費税・仮受消費税は、わかっているけれど、まだ精算していないから置いておく科目です。相手も時期も金額の決まり方も、最初から決まっています。
この違いは、科目の性格にも表れます。現金過不足は、資産・負債・純資産・収益・費用のどれにも属さない科目です。中身が決まるまで、資産とも負債とも言えないからですね。これに対して仮払消費税は資産、仮受消費税は負債と、はじめから性格が決まっています。
まとめ:消費税の仕訳を理由から理解しよう
消費税の仕訳は、覚えることが多いように見えて、実は1つの理由からすべてつながっています。
- 消費税を負担するのは消費者で、納めるのは会社。会社は消費税の通り道にすぎない
- だから消費税は仕入にも売上にも入れない。仕入先へ払った分は仮払消費税(資産)、買い手から預かった分は仮受消費税(負債)
- 決算で仮受消費税から仮払消費税を差し引き、残りを未払消費税として納める
仕訳の形を丸暗記しようとすると、借方と貸方がどちらだったか迷います。「預かったのか、立て替えたのか」で考えれば、書く側は自然に決まります。預かったものは国に納める義務なので負債、立て替えたものはあとで差し引ける権利なので資産です。
決算の仕訳も同じです。預かった分から立て替えた分を差し引けば、残るのが納める金額。理由から追えば、暗記しなくても書けるようになります。
消費税は、レシートで毎日目にしているのに、帳簿の上では少し変わった動きをする論点です。それでも、会社は預かって渡すだけという出発点さえ握っておけば、はじめて見る問題でも、どの科目をどちら側に書くかは理由から決められます。決算整理の一つとして、落ち着いて向き合ってみてくださいね。
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