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【買掛金と未払金と未払費用】〜使い分けを2つの基準で簡単解説〜

買掛金と未払金と未払費用_アイキャッチ
まねきねこ

こんにちは。まねきねこ
(@lucky_cat_037)です。

負債科目(債務)の中でよく登場するものと言えばこの3つですが、その使い分けをしっかりと理解しているでしょうか?

  • 買掛金
  • 未払金
  • 未払費用

「あれ?これって買掛金じゃなくて未払金なんだ」
「ん?未払費用と未払い金って何が違うんだっけ?」

この記事では、このようにこの3つの科目の使い分けで悩んでいるあなたの力となるべく買掛金と未払金と未払費用の違いについて詳しく解説していきます。

この記事を読むことで、この3つの科目についてしっかりと区別して理解し、使い分けることができるようになりますよ。

これらの3つに限らず、簿記の勉強においては違う論点で同じところと違うところを整理しながら勉強すると効率が段違いです。その時は暗記で乗り切ろうとするのではなく、せっかくなら本質を理解しましょう。
勉強自体もとても楽しくなりますよ!

それでは早速行きましょう!

※先に結論を書いておきます!買掛金と未払金と未払費用の使い分けは以下のように考えてください。

買掛金と未払い金と未払費用の使い分けは2つの基準で考える
1つ目の基準:確定した債務か、見越計上した債務か
2つ目の基準:確定した債務について、発生した取引が営業取引か、それ以外か
確定した債務の場合
営業取引:買掛金
それ以外:未払金
見越計上した債務の場合
未払費用

さて、本題に入る前にここで軽く自己紹介をさせてください!

まねきねこってどんな人?
  • 完全未経験から約2ヶ月の独学で簿記2級を取得
  • 1級の勉強をする中で2級までの勉強がただの暗記だったと気づき、同時に簿記の楽しさに目覚める
  • 簿記の勉強に悩んでいる方々の力になるために、簿記の深く楽しい理解を助けるブログ作成を目指している
  • 妻と息子の3人家族
  • 一緒に挑戦し続ける仲間を募集中!

詳しい自己紹介はこちらの記事をご覧ください!

弟子ねこ

買掛金だと思ったら未払金だったよ。
何回も同じ間違いをしてる気がするから、そろそろしっかり理解したい!

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簿記は言葉の使い分けが大事だよ!
地味だけど、意味がしっかり分かると忘れにくいから一緒に理解していこう!

2つの基準で理解しよう

さて、それでは説明に移りましょう!今回、買掛金と未払金と未払費用の使い分けということでやっていきますが、2つの基準で考えていきます!「困難は分割せよ」という言葉がある通り、いきなり3つで比較するのではなく、ちょっとずつ分割して理解していきましょう。

その2つの基準とは、

  1. 確定した債務か、見越計上した債務か
  2. 確定した債務について、発生した取引が営業取引か、それ以外か

という基準になります。それぞれの基準が具体的にどのような意味なのかはこれから説明していきますが、まずはこの2つの基準によって、買掛金と未払金と未払費用がどのように分けられるかを書きますね!

確定した債務の場合
営業取引:買掛金
それ以外:未払金
見越計上した債務の場合
未払費用

それぞれについてここは似ていてここは違います、という風に整理していきますね。
※この記事の中では支払い手形は買掛金と同様と思ってください。買掛金と支払手形の違いももちろんありますがこの記事では割愛します。

それでは早速いきましょう!まずは1つ目の基準の「確定した債務か、見越計上した債務か」です。

1つ目の基準 〜確定した債務か、見越計上した債務か〜

まずは、確定した債務か、見越計上した債務かという基準で分けていきましょう!それぞれについてどのような意味か解説していきますね!

確定した債務とは

確定した債務とは何か、ということの説明ですが、まずは簡単にイメージを掴みましょう!イメージとしては、現金で払っても良かったし、振り込みを行っても良かったけれど、後で支払うことになった、という債務(お金を支払う義務)のことです。

確定した債務とは
現金で払ってもいいし、振り込みを行っても良かったけど、後で支払うことになったという債務(お金を支払う義務)のこと

例を挙げながら説明していきます。

例1:仕入を行った時

商品売買を営んでいるとして、仕入を行った時のことを考えてみます。

とある商品を10,000円分仕入れたとして、支払いは仕入の時は行わずに1ヶ月後ということになったとします。これって、支払いは確定していますよね?

この時の10,000円を負債として計上したのが確定した債務です。ちなみにこの場合、①仕入れた時の仕訳と②支払った時の仕訳は、以下のようになります。
※買掛金の支払いは当座預金からとします。

①or②借方科目金額/貸方科目金額
仕入10,000/買掛金10,000
買掛金20/当座預金20
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

①仕入を行う時に、現金や当座預金などの資産から支払いをすることなく、負債(後から支払う義務)を計上しておいて、②実際に支払う時に負債を取り崩したんですね!

余談ですが、各取引で簿記の5要素のどれとどれが動いているのか意識しながら勉強すると一つ一つの取引のイメージがつきやすいですよ!

今回の取引でいえば、以下のようになります。

  1. 費用を計上すると同時に負債を計上した
  2. 資産を減少させて負債を取り崩した

簿記の5要素の復習はこちらの記事をよければご参考ください。この記事でなくても良いですが、何度も復習しておくべき重要な内容です!

さあ、続いて二つ目の例を挙げます。

例2:固定資産を買った時

製造業を営んでいるとして、固定資産となるような機械を購入したとしましょうか。これを使用して材料を加工し製品を作って販売します。

機械の金額は5,000,000円だったとしますね。当座預金から1,000,000円振り込んで、残りは4,000,000円は3ヶ月後に一括で支払うとしましょうか。
※ここでは利息はなしとします。

これって、先ほどの仕入の例と同じで支払いは確定していますよね?

この時の4,000,000円を負債として計上したのが確定した債務です。ちなみにこの場合、①機械を購入した時の仕訳と②支払った時の仕訳は以下のようになります。
※未払金の支払いは当座預金からとします。

①or②借方科目金額/貸方科目金額
機械装置5,000,000/当座預金1,000,000
未払金4,000,000
未払金4,000,000/当座預金4,000,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

①機械の購入をした時に、当座預金からの支払いと同時に負債(後から支払う義務)を計上しておいて、②残額を支払う時に負債を取り崩したんですね!

2つの例を見てきました。これらのような負債が、支払いが確定している債務を意味します!
もう一度復習すると、別に現金で払っても良かったし、振り込みを行っても良かったけれど、後で払うことになった、という債務(お金を支払う義務)のことでしたね。これらが買掛金と未払金になります!

※例1では買掛金を、例2では未払金を使いました。これらの使い分けは2つ目の基準のところで説明しますので、まずは1つ目の基準についての続きをご覧ください。

さあ、確定した債務についてはイメージできたでしょうか?それでは続いて、見越計上した債務の説明に移りますね!

見越計上した債務とは

見越計上した債務とは何か、について説明していきます!見越計上した債務とは、決算の時に決算整理仕訳見越処理によって計上された、当期分の費用の相手科目である債務のことです。

見越計上した債務とは
決算の時に決算整理仕訳で見越処理によって計上された、当期分の費用の相手科目である債務のこと

ちなみに、見越処理という言葉が急に出てきてこう思った方はいませんか?

「見越処理?聞いたことないよ、、、?」
「見越か~、よく分からなくて苦手なんだよな~」

こう思った方は、ぜひこちらの記事をご確認ください。見越処理と繰延処理は簿記の根幹を成す処理です。仕訳の多くが実は見越・繰延処理の一つであり、よく理解しておくべき論点です!

「なぜ見越・繰延処理をしているのか」も含めて一度確認しておきましょう!

見越処理によって、まだ確定していない費用が、この金額が当期の分のはず!と見越して計上されますね。その相手科目として負債が計上されますが、その負債(債務)が見越計上した債務です。

見越処理について簡単に復習するために、例として保険料について考えてみましょう。

  • 1年ごとに契約をしている
  • 当期は20X1年度とし、20X2年3月末を決算とする
  • 保険の期間は毎年10月1日から翌年9月末までの1年間
  • 保険料は1年分(10,000円)を毎年9月末に後払い
  • 毎年同じ期間、同じ金額で保険に加入している

このような場合、翌期である20X2年9月末に支払われる10,000円のうち、5,000円(半年分)は当期(20X1年4月~20X2年3月)の費用にする必要があります。

なぜなら、20X2年9月末に支払われる保険料によって保険が適用される期間は20X1年10月~20X2年9月であり、そのうち20X1年10月~20X2年3月(半年)は当期だからですね。

そこで、20X1年10月~20X2年3月の半年分を当期の費用とするために見越処理をするわけですね!仕訳は以下のようになります。

借方科目金額/貸方科目金額
保険料5,000/未払費用5,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

このように、当期分の費用を見越計上する時の相手科目が見越計上した債務であり、科目は未払費用です。さらに、未払費用は決算時に見越処理によって計上されるための科目のため決算が明けたら再振替仕訳で振替られて消え去ります

ここまで読んできて、見越・繰延処理について不安が残る方は先ほども挙げた見越・繰延処理についてのこちらの記事をご確認ください。

さあここまでで1つ目の基準「確定した債務か、見越計上した債務か」について説明してきました!いったんまとめましょう!

基準1つ目のまとめ ~未払金と未払費用は全然違う~

まずは基準1つ目として、確定した債務見越計上した債務かという分け方をしました。どうでしょうか?特に、未払金と未払費用で名称が似ているため間違えやすいと思っている方が多いと思うのですが、こうやって見ると全然違いませんか?

確定した債務(買掛金や未払金)は現金や振り込みでの支払いと同列で、資産を減らして支払いする代わりに債務を計上しておいて後で支払うための科目です。そして、将来債務を取り崩して現金や振り込みで支払うことになります。

一方見越計上した債務(未払費用)は、見越処理によって当期の分として計上した費用の相手科目として計上されたもので決算が終わったら再振替仕訳で消え去ります。

確定した債務(買掛金や未払金)とは
現金で払ってもいいし、振り込みを行っても良かったけど、後で支払うことになったという債務(お金を支払う義務)のこと
見越計上した債務(未払費用)とは
決算の時に決算整理仕訳で見越処理によって計上された、当期分の費用の相手科目である債務のこと

ということで、まずは1つ目の基準「確定した債務か見越計上した債務か」という分け方をしました。これで未払費用は分けることができたので、あとは買掛金と未払金の使い分けを考えましょう!

2つ目の基準〜営業取引か、それ以外か〜

続いての基準は、確定した債務について、発生した取引が営業取引かそれ以外かです。ということで、ここからは営業取引とは何かについて説明します。

営業取引とは何か 〜本業に関わる取引〜

営業取引とは、「その会社の本業に関わる取引」と思っていただいてまずOKです。例を挙げますね。

文房具屋さん
文房具の仕入や販売など
不動産屋さん
土地の売買など
証券会社なら???
株の売買など

これらが本業に関わる取引であり、つまりは営業取引ですね。
そして、

  • 営業取引:買掛金
  • それ以外:未払金

という風に使い分けるんですね!

ただし、例えば不動産屋さんが実際に買掛金を使う必要はありません。未払金で処理してしまってOKです。買掛金にできるのは発生した要因が営業取引のための時のみ。ただし、営業取引によって発生していても未払金を使用しても良いです。

この辺りは実務で使っているかどうかなので会社にもよります。

では続いて、買掛金と未払金について具体的に見てみましょう。
買掛金を使用できるのは営業取引のみで限定的になるので、買掛金の具体例を確認しておけば問題ないと思っていただいてOKです。

買掛金と未払金〜買掛金の具体例〜

簿記の試験で出てくる業態は

  1. 商品売買(小売業など)
  2. 製造業

基本的にこの二つになります。これらの業態で、どのような時に買掛金が使われるかと言うと、

商品売買
商品の仕入れ
製造業
材料の仕入れ

このような時に買掛金を使うことになります。どうでしょうか。「え?これだけ?」と思いませんか?そうなんです、簿記試験において買掛金を使えるのはこの2つくらいのものです。

この2つに関わる取引が非常に多いので買掛金が出てくることも多いですが、しっかりと理解できていれば恐れる必要はありませんね!

ただし、ここで営業取引について1点注意点があります!少し長くなってしまうのですが、ここを理解しているかどうかも非常に重要なのでしっかりと確認してくださいね。

営業取引の注意点 〜「通常の」営業取引とは〜

先ほど、営業取引の説明で「その会社の本業に関わる取引かどうか」という解説をさせていただきました。では、固定資産の購入はいかがでしょうか?本業に関わる取引でしょうか?実は先程、確定した債務についての説明をした際、例の2つ目で機械装置の購入を例に挙げました。

例の中で、「製造業を営んでいるとして、固定資産となるような機械を購入したとしましょうか。これを使用して材料を加工し製品を作って販売します。」と書いていましたね。

そして、この時に後払いすることにした金額は確定した債務です、と説明しましたね。この時の確定した債務ですが、買掛金か未払金かどちらでしょうか?

弟子ねこ

確か、「未払金」じゃなかった?

そうですね、未払金です。簡単でしょうか?使い分け自体は頭に定着している方も多いと思いますが、ちょっと立ち止まって考えていただきたいんです。これを使用して材料を加工し製品を作って販売します。」

これってつまり、その会社の本業を表してませんか?

この会社の業態は製造業ですね。製造業であれば、材料の仕入れは買掛金で処理しますよね。それなら、製品の製造に関わること(本業)に関する固定資産の購入で発生した債務は買掛金とすべきでは?という考え方もできます。

先程の例で挙げたように、不動産屋さんであれば土地の購入を買掛金で処理できるのだから、購入するものが機械だからとか、土地だからというわけではありません。

ではなぜ、固定資産の購入は未払金なのか。

それは、「通常の」営業取引ではないからです。この、「通常の」というのが大事なんです。製造業において、材料の購入は製造のために常時継続的に発生する取引です。

しかし、製造用の機械はそうではありません。毎月のように一定の機械を買い続ける会社なんてないですよね?もしあるとしたら、それはもはや材料です。そもそも固定資産の定義からすると、固定資産は1年以上使用することになります。だからこそ減価償却するんでしたね。

「減価償却ってそもそもなんだったっけ?」
「そういえば、減価償却ってなんのためにやってるのか理解してないな」

そう思った方はこちらの記事もご覧ください。減価償却の真の目的について簡単に説明しています。

製造用の機械は都度投資の意思決定をして購入します。規模の大きな会社は毎月多くの固定資産を購入しますが、これは通常の取引ではないという判断です。ということで、固定資産の購入は未払金で処理してください。

注意事項が長くなってしまいましたが、基準の2つ目を復習します!

基準2つ目のまとめ 〜営業取引かどうかで区別する〜

それでは基準2つ目の復習をします。2つ目の基準は営業取引かどうかでしたね。営業取引は商品売買での商品の仕入れや製造業での材料の仕入れくらいなので、意外と簡単でしたね!

  • 営業取引:買掛金
    ※営業取引とは本業に関わる通常の取引で、商品や材料の仕入れのことをいう
  • それ以外:未払金

そして、注意点として固定資産の購入は買掛金ではない、という話もしました。本業に関わる取引ではあるけれど、通常行う取引ではないからでしたね。

まとめ 〜買掛金と未払金と未払費用の使い分けは意外と簡単〜


さて、今回は何度も間違えがちな買掛金と未払金と未払費用の使い分けについて書かせていただきました。

3つの使い分けですが、「困難は分割せよ」ということで2つの基準で考えましたね。

買掛金と未払い金と未払費用の使い分けは2つの基準で考える
1つ目の基準:確定した債務か、見越計上した債務
2つ目の基準:確定した債務について、発生した取引が営業取引か、それ以外
確定した債務の場合
営業取引:買掛金
それ以外:未払金
見越計上した債務の場合
未払費用

と分けることができました。冒頭でも書きましたが、この三つに限らず、簿記の勉強においては違う論点で同じところと違うところを整理しながら勉強すると効率が段違いです。

しっかり腹落ちして理解できていると、問題を見たときにすぐに使い分けることができます。試験においてはスピードが大事になってくるので、しっかり理解しておきましょう。

この記事が少しでもあなたの簿記の深く楽しい理解を助けることができていたら嬉しいです。

これからも自分の言葉でかみ砕いて簡単に、でも意味や本質に重点を置いてお届けしていきますのでよろしくお願いします!

ではまた!

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