まねきねこ
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簿記をつまらないと感じている人に、簿記の楽しさを知り楽しく学んでほしい。ブログを通じて簿記の深く楽しい理解を助けることを目指している。

完全未経験から2ヶ月の独学で簿記2級を取得。

大学1年生から大学院2年生までの6年間に、小学4年生から高校2年生まで約30人ほどの生徒に対して国語、算数、数学、英語、理科を指導した実績あり。

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見越・繰延とは?前払費用など4つの経過勘定の覚え方をわかりやすく解説

まねきねこ

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まねきねこ
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こんにちは。まねきねこ(@lucky_cat_037)です。

簿記3級の決算整理で登場する、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益。名前が似すぎていて、「どっちが資産でどっちが負債?」「4つも覚えられない…」と手が止まってしまう。そんな声をよく聞きます。

じつは、この4つの科目はまとめて「経過勘定(けいかかんじょう)」と呼ばれ、それを計上する処理が「見越(みこし)・繰延(くりのべ)」です。名前は似ていますが、安心してください。経過勘定は、「なぜ見越・繰延が必要なのか」という理由と、2つの軸に結びつければ、1つずつ着実に理解できます

この記事では、見越・繰延の仕組みと4つの科目の覚え方を、簿記3級を勉強している方に向けて、おすすめの学習順つきでわかりやすく解説します。

この記事を読むと、以下のことがわかります。

  • なぜ決算で見越・繰延が必要なのか(費用や収益の当期と翌期の計上額を正しくする)
  • 前払費用・前受収益・未払費用・未収収益(経過勘定)の覚え方とおすすめの学習順
  • 決算整理仕訳と翌期首の再振替仕訳のやり方

なお、この記事で扱う見越・繰延の仕訳と経過勘定は、簿記3級の試験範囲です。決算整理の中でも特に出題の多い論点で、第1問の仕訳から第3問の決算まで幅広く出題されます。

弟子ねこ
弟子ねこ

前払に前受、未払に未収…。どれがどれだか、こんがらがっちゃうよ。どうやって覚えたらいいの?

まねきねこ
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ばらばらに覚えるから大変なんだ。2つの軸とおすすめの順番で、1つずつ着実に理解していこう!

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見越・繰延とは?費用と収益を当期と翌期に正しく分ける決算整理

まずは、見越・繰延がどんな決算整理なのかを、身近な例からイメージをつかんでみましょう。

動画配信サービスに秋ごろ加入して、1年分の料金をまとめて支払ったとします。家計簿を12月で締めるとき、この支払いには「今年の分」と「来年の分」が混ざっていますよね。全額を今年の出費として数えると、来年の分まで今年に含まれてしまいます。

会社の決算でも、これとまったく同じことが起こります。1年分の家賃をまとめて払うなど、期間をまたぐお金の出入りがあると、当期の成績に翌期の分が混ざってしまうからです。これを整理するのが、見越・繰延です。

見越・繰延とは、会計期間をまたぐ費用や収益を当期の分と翌期の分に切り分けて、それぞれの期の計上額を正しくする決算整理のことです。

2つの言葉は、切り分けの方向で使い分けます。繰延べは、すでに支払った(受け取った)金額のうち、翌期の分を翌期へ送り出すこと。見越しは、まだ支払っていない(受け取っていない)けれど、当期の分を当期に計上しておくことです。

なぜ見越・繰延が必要なのか:当期と翌期の計上額を正しくするため

会社の活動はずっと続いていきますが、簿記では会計期間という区切りごとに成績を計算します(この前提の話は、こちらの記事で解説しています)。区切って計算する以上、期間をまたぐ支払いや受け取りが必ず出てきます。

たとえば、3月31日が決算日の会社が、6月1日に向こう1年分の家賃12,000円を支払ったとします。この12,000円には、当期の10ヶ月分(10,000円)と翌期の2ヶ月分(2,000円)が混ざっています。この切り分けを1枚の図にすると、以下のようになります。

6月1日に支払った家賃12,000円(1年分)を決算日(3月31日)で切り分け、当期の費用10,000円と翌期分2,000円に分ける図。翌期分は翌期の費用へ繰り延べる

決算日の線で切り分けると、当期の費用にしてよいのは10,000円まで。残りの2,000円は、翌期の費用として送り出します。これが繰延べです。反対に、支払いがまだでも当期の分を先に計上しておくのが見越しです。

どちらも目的は同じで、費用や収益の「当期の計上額」と「翌期の計上額」の両方を正しくすること。当期の利益が正しく計算できるだけでなく、翌期の利益も正しくなります。

なぜ見越・繰延が必要なのか

簿記は会計期間で区切って成績を計算する。
→ 期間をまたぐ支払いや受け取りが必ず生じる。
→ 当期分と翌期分に切り分けて、両方の期の計上額を正しくする。これが見越・繰延。

経過勘定とは?前払費用・前受収益・未払費用・未収収益の覚え方

ここまでで、「なぜ切り分けるのか」という理由がわかりました。ここからは、切り分けたときに使う科目の話です。

この切り分けのために使う4つの科目をまとめて、経過勘定と呼びます。経過勘定とは、前払費用・前受収益・未払費用・未収収益という4つの科目の総称です。見越・繰延という「処理」によって生まれるのが、経過勘定という「科目」——この関係をおさえておきましょう。

「前」か「未」か・「費用」か「収益」か:2つの軸で見分ける

4つの名前は、じつは2つの軸の組み合わせでできています。1つ目の軸は「前」か「未」か。「前」はお金の受け払いが先に済んでいる(すでに払った・すでにもらった)という意味で、繰延べで使います。

「未」はお金の受け払いがまだ(まだ払っていない・まだもらっていない)という意味で、見越しで使います。

2つ目の軸は「費用」か「収益」か。自分がお金を払う側なら費用、受け取る側なら収益です。4つの名前は、この2つの軸の組み合わせがそのまま科目名になっているだけ。ばらばらに丸暗記する必要はありません。「先に払った費用だから、前払費用」と、軸に結びつけて考えれば思い出せます。

どれが資産でどれが負債か:権利と義務で見分ける

4つの科目が資産なのか負債なのかも、理由から考えられます。前払費用は、先にお金を払った分、これからサービスを受けられる権利なので資産。前受収益は、先にお金をもらった分、これからサービスを提供する義務なので負債です。

未払費用は、サービスをすでに受けていて、あとでお金を払う義務なので負債。未収収益は、サービスをすでに提供していて、あとでお金を受け取れる権利なので資産です。「権利=資産・義務=負債」という考え方の土台は、こちらの記事で解説しています。

ここまでの内容——2つの軸と、資産か負債か——を1枚の表にまとめると、次のようになります。

前払費用・前受収益・未払費用・未収収益を「お金が先か・あとか」×「お金を払う側(費用)か・受け取る側(収益)か」の2つの軸で整理した表。青が資産(権利)、緑が負債(義務)を表し、前払費用と未収収益は資産、前受収益と未払費用は負債

縦が「前か未か」、横が「費用か収益か」。さらに、青が資産(受け取る権利)、緑が負債(果たす義務)を表しています。名前の成り立ちと、資産か負債かが、これ1枚で見渡せます。

弟子ねこ
弟子ねこ

未収収益と未払費用、どっちも「未」なのに、片方は資産で片方は負債なんだね。

まねきねこ
まねきねこ

そう。資産か負債かは「前・未」ではなく、権利か義務かで決まるんだ。受け取る権利なら資産、果たす義務なら負債。だから未収収益は資産、未払費用は負債になるんだよ!

【おすすめの学習順】
4つの経過勘定は、次の順に1つずつ理解していくのがおすすめです。

①前払費用 → ②未払費用 → ③前受収益 → ④未収収益

おすすめする理由は3つあります。
(1) 繰延べ(前払・前受)のほうが「すでに払ったものを切り分けるだけ」なのでイメージしやすい
(2) 費用のほうが試験で出題されやすく、練習問題も豊富
(3) 費用と収益の違いは、仕訳の借方と貸方が入れ替わるだけ

なお、見越・繰延には再振替仕訳(翌期首の逆仕訳)もありますが、後回しで大丈夫です。まずは決算整理仕訳から。この記事も、この順番で解説していきます。

それでは、おすすめの順番のとおり、①前払費用から見ていきましょう。

①前払費用:家賃の前払分を繰り延べる決算整理仕訳

1番目は前払費用です。次の具体例で、支払いから決算までの流れを見ていきます。

【具体例】
・3月31日を決算日とする会社
・6月1日に、向こう1年分の家賃12,000円(1か月あたり1,000円)を現金で支払った

家賃を支払ったときは、いったん全額を費用として計上します。

借方科目金額貸方科目金額
① 6/1 支払時支払家賃12,000現金12,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

このままだと、支払った12,000円がまるまる当期の費用になってしまいます。でも、決算日で区切ると、当期(6月〜翌年3月)の10か月分=10,000円が当期の家賃。残りの4月・5月の2か月分=2,000円は、翌期の家賃です。

そこで決算では、この2,000円を当期の費用から取り除き、「前払家賃」という資産の科目に振り替えます

借方科目金額貸方科目金額
② 3/31 決算前払家賃2,000支払家賃2,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

これで、当期の費用として残る支払家賃は10,000円になりました。前払家賃が資産なのは、すでに家賃を払ってあり、これから2か月分、部屋を借りられる権利があるからです。

なお、前払家賃のように費用の前払分は、貸借対照表では「前払費用」とまとめて表示します。この表示のルールは、損益計算書・貸借対照表の作り方の記事で、本記事と同じ数字を使って解説しています。

この前払家賃は、翌期のはじめに、もとの支払家賃へ戻す「再振替仕訳」を行います。再振替については、記事の後半でまとめて解説しますので、ここでは決算整理仕訳までをおさえておきましょう。

②未払費用:未払いの利息を見越して計上する決算整理仕訳

2番目は未払費用です。前払費用が「すでに払った分を切り分ける」のに対して、未払費用は「まだ払っていない分を先に計上する」のがポイントです。

【具体例】
・3月31日を決算日とする会社
・12月1日に、銀行から120,000円を年利3%で借り入れた
・利息は、1年後の返済時に1年分をまとめて支払う(後払い)

弟子ねこ
弟子ねこ

まだ1円も払ってないのに、利息を費用にしちゃうの?

まねきねこ
まねきねこ

そう。お金を払ったかどうかじゃなくて、その期間にサービスを受けたかどうかで費用を考えるんだ。4か月分、ちゃんとお金を借りていたよね!

決算日の3月31日の時点では、利息はまだ1円も払っていません。でも、お金を借りている以上、12月から翌年3月までの4か月分の利息は、当期にすでに発生しています。

1年分の利息は、120,000円 × 3% = 3,600円。1か月あたり300円なので、12月から翌年3月までの4か月分は、300円 × 4か月 = 1,200円です。

この1,200円を、まだ払っていなくても当期の費用として計上しておきます。これが見越しです。相手科目には、「未払利息」という負債の科目を使います。

借方科目金額貸方科目金額
3/31 決算支払利息1,200未払利息1,200
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

未払利息が負債なのは、これから利息を払う義務があるからです。この未払利息も、翌期のはじめに再振替仕訳を行います(記事の後半で解説します)。

未払費用と未払金の違い

「未払」とつく科目には、未払費用のほかに「未払金」もあります。混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。

  • 未払費用……家賃や利息など、時の経過とともに発生する費用のうち、まだ払っていない当期分を見越し計上したもの(経過勘定)
  • 未払金……備品を買ったときの代金など、単発の取引で生じた、まだ払っていない代金

どちらも「あとで払う義務=負債」ですが、未払費用は時の経過とともに少しずつ発生するのに対し、未払金は取引をした時点で金額が確定している点が違います。未払金や買掛金との使い分けは、こちらの記事でくわしく解説しています。

ここまでで、費用の繰延べ(前払費用)と見越し(未払費用)を見てきました。次は、③前受収益・④未収収益です。じつは、この2つは借方と貸方が逆になるだけなので、ここまで理解できていれば大丈夫です。

③前受収益・④未収収益:借方と貸方が逆になるだけ

残る2つは、収益側の経過勘定です。新しく覚えることはほとんどありません。①②の例を「お金を受け取る側」から見るだけ。考え方と仕訳の形はまったく同じで、科目が受け取る側の名前に変わり、借方と貸方が逆になるだけです。

まず③前受収益。①の家賃の例を、部屋を貸している大家さんの側から見てみましょう。6月1日に1年分の家賃12,000円を受け取り、いったん全額を収益(受取家賃)として計上しています。

決算では、翌期の2か月分2,000円を収益から取り除き、「前受家賃」という負債の科目に振り替えます。

借方科目金額貸方科目金額
③ 3/31 決算受取家賃2,000前受家賃2,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

前受家賃が負債なのは、先にお金をもらった分、これから2か月分、部屋を貸す義務があるからです。①の決算整理仕訳(前払家賃2,000/支払家賃2,000)と見比べると、ちょうど鏡のように借方と貸方が入れ替わっています。

次に④未収収益。②の利息の例を、お金を貸した側から見ます。貸した側は、12月から翌年3月までの4か月分の利息1,200円を、まだ受け取っていなくても当期の収益として計上します。

借方科目金額貸方科目金額
④ 3/31 決算未収利息1,200受取利息1,200
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

未収利息が資産なのは、あとで利息を受け取れる権利があるからです。これで、4つの経過勘定がすべてそろいました。

弟子ねこ
弟子ねこ

ほんとだ、科目が受け取る側の名前になって、借方と貸方がひっくり返っただけだね!

まねきねこ
まねきねこ

そう。だから①と②をしっかり理解しておけば、③と④は自然にできるようになるんだ。おすすめの学習順には、こういう理由もあるんだよ!

翌期首の再振替仕訳:なぜ逆仕訳をするのか

最後に、後回しにしていた再振替仕訳です。再振替仕訳(さいふりかえしわけ)とは、決算で計上した経過勘定を、翌期首(翌期の最初の日)に逆仕訳でもとの費用・収益の科目へ戻す仕訳のことです。簿記3級では、第2問の勘定記入の問題でよく出題されます。

①前払家賃と②未払利息の再振替仕訳は、次のとおりです。決算整理仕訳と借方・貸方が逆になっています。

借方科目金額貸方科目金額
① 4/1 再振替支払家賃2,000前払家賃2,000
② 4/1 再振替未払利息1,200支払利息1,200
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています
弟子ねこ
弟子ねこ

せっかく決算で切り分けたのに、戻しちゃうの?

まねきねこ
まねきねこ

切り分けが必要だったのは、当期の計算のためだからね。翌期には翌期の立場で、計上し直すんだ!

繰延べ(前払費用・前受収益)の再振替:翌期に費用・収益を計上し直す

まずは繰延べから。①前払家賃2,000円は、翌期に部屋を借りる4月・5月分の家賃です。翌期首に支払家賃へ戻しておけば、翌期の帳簿に「4月・5月分の家賃2,000円」が費用として計上された状態になります。この流れを1枚の図にすると、以下のようになります。

決算日(3月31日)に前払家賃2,000円が翌期へ持ち越され、翌期首(4月1日)の再振替(逆仕訳)で支払家賃へ振り替え、翌期は支払家賃(翌期の費用)として4月・5月分2,000円が計上される3コマの流れ図

図の流れをまとめると、①決算日に切り分ける②翌期首に支払家賃へ戻す③翌期の費用が正しくなる、という3ステップです。

繰延べの収益版、③前受家賃も同じです。翌期首に受取家賃へ戻せば(前受家賃2,000/受取家賃2,000)、翌期分の家賃収入が、正しく翌期の収益になります。

見越し(未払費用・未収収益)の再振替:翌期はマイナスからスタートする

次に見越しです。こちらは繰延べと少し様子が違います。②未払利息の再振替では、支払利息の貸方に1,200円が入ります。つまり、翌期の支払利息は、いったんマイナス1,200円の状態からスタートします。

翌期の11月30日に1年分の利息3,600円を支払うと、この時点で翌期の支払利息は3,600円−1,200円=2,400円。この支払いのうち翌期が負担すべき8か月分(4月〜11月)が、正しく翌期の費用になっています。

この流れも図にまとめます。ただし、繰延べの図とは①〜③のタイミングが違う点に注意してください。繰延べは①が決算日(3月31日)でしたが、見越しの図は①が翌期首(4月1日)から始まります。

図では、①翌期首にマイナスからスタート②翌期の支払時(11月30日)に1年分を計上③差引きで翌期の費用が正しくなる、という3ステップを追います。

翌期首(4月1日)の再振替で支払利息がマイナス1,200円からスタートし、翌期(11月30日)に1年分3,600円を支払うと、差引き2,400円が翌期の費用(4〜11月の8か月分)として正しく計上される流れ図

なお、この2,400円は「11月30日の支払い」に対する翌期の負担分です。同じ借り入れが続いていれば、翌期の決算でも、あらためて12月〜翌年3月の4か月分を見越し計上します。見越・繰延は、一つひとつの支払いや受け取りについて、各期に計上すべき金額を正しくしていく決算整理なのです。

見越しの収益版、④未収利息も同じ形です。翌期首に取り消しておけば(受取利息1,200/未収利息1,200)、費用側とまったく同じ理屈で、翌期の受取利息もマイナスからスタートし、翌期の収益が正しい金額になります。

再振替をしておけば、翌期はいつもどおりの記帳をするだけで、翌期の計上額が自動的に正しくなるのです。ここでも、見越・繰延の目的——当期と翌期の両方の計上額を正しくする——が貫かれています。

なぜ再振替仕訳をするのか

決算の切り分けは、当期の計算のためのもの。
→ 翌期首に、逆仕訳でもとの科目へ戻す。
翌期はいつもどおり記帳するだけで、翌期の計上額が正しくなる

見越・繰延の考え方は、ほかの決算整理にもつながっている

この記事の最後に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。じつは、見越・繰延は4つの経過勘定だけの話ではありません。「費用や収益を、計上すべき期に正しく割り当てる」という考え方は、簿記の決算整理の多くに共通する背骨なのです。

弟子ねこ
弟子ねこ

え、ほかの決算整理も仲間なの?それぞれ全然別の論点だと思ってた!

まねきねこ
まねきねこ

科目も仕訳も違うけど、「どの期の費用や収益にするか」を調整しているところは同じなんだ。ここに気づくと、決算整理がひとつながりに見えてくるよ!

たとえば、売上原価の算定。当期に仕入れた商品のうち、売れ残った分(期末商品)を翌期へ送り出す——費用を正しい期に対応させるという、繰延べと同じ目的の調整です。くわしくはこちらの記事(しいくりくりしい)で解説しています。

また、貸倒引当金の設定は、将来の貸し倒れに備えて当期のうちに費用を見積もっておく——これも、当期の損益に必要な費用を正しく計上するという、同じ目的の調整です。くわしくはこちらの記事で解説しています。

だから、見越・繰延を深く理解しておくと、ほかの決算整理を学ぶときにも「これは、どの期の話を調整しているのか?」という視点で考えられるようになります。見越・繰延は、決算整理ぜんぶの理解を底上げしてくれる、土台の論点です。

そして、この記事で学んだ決算整理仕訳が、決算全体の中でどう集計されていくのかは、精算表の記事で確認できます。本記事と同じ、前払家賃2,000円の数字で解説しています。

まとめ:見越・繰延は理由から覚えよう

最後に、この記事のポイントを整理します。

この記事のポイント
  • 見越・繰延は、費用や収益の当期と翌期の計上額を正しくする決算整理
  • 経過勘定は「前か未か」×「費用か収益か」の2つの軸で見分ける
  • 資産か負債かは権利か義務かで決まる
  • 学習順は①前払費用→②未払費用→③前受収益→④未収収益がおすすめ。費用と収益は借方・貸方が逆になるだけ
  • 翌期首の再振替仕訳で、翌期の計上額も正しくなる

4つの経過勘定は、名前だけ眺めているとどれも同じに見えます。でも、「なぜ切り分けるのか」という理由と2つの軸に結びつければ、1つずつ着実に自分のものにできます。

「当期と翌期の計上額を正しくする」——この目的さえおさえれば、はじめて見る出題のパターンでも、理由から考えられるようになりますよ。

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