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【固定資産の売却】〜パターン分け不要の4ステップ解法〜

固定資産の売却_アイキャッチ
まねきねこ

こんにちは。まねきねこ
(@lucky_cat_037)です。

「固定資産の売却」と言えば、「固定資産の減価償却」と合わせて出題される重要論点ですね。

色んなパターンがあって覚えるのに苦労したよ、、、」
「なぜか分からないけどケアレスミスが多いんだよね。」

この記事ではこのような皆さんの助けとなるべく解説していきます。

「固定資産の売却は様々なパターンを分けて理解するもの」という認識をしている方も多いと思います。しかしそれは勘違いで、実は固定資産の売却は全て同じ手順で解くことができる論点なのです。

そこでこの記事では、 完全未経験から約2ヶ月の独学で簿記2級に合格した筆者が「簿記初心者でも分かりやすく」固定資産の売却について以下の点から解説します!

この記事を読むことで、固定資産の売却をパターン分け不要で理解できるようになりますよ!

先に結論を書いておきます!

固定資産の売却はパターン分けせず常に同じ4ステップで処理する
①期首の帳簿価額を落とす→②減価償却費の計上→③対価の計上→④売却損益の計上
いつも同じ手順で解くことでケアレスミスを減らすことができる

さて、本題に入る前にここで軽く自己紹介をさせてください!

まねきねこってどんな人?
  • 完全未経験から約2ヶ月の独学で簿記2級を取得
  • 1級の勉強をする中で2級までの勉強がただの暗記だったと気づき、同時に簿記の楽しさに目覚める
  • 簿記の勉強に悩んでいる方々の力になるために、簿記の深く楽しい理解を助けるブログ作成を目指している
  • 妻と息子の3人家族
  • 一緒に挑戦し続ける仲間を募集中!

詳しい自己紹介はこちらの記事をご覧ください!

弟子ねこ

固定資産の売却って何個もパターンがあったと思うけど、全部同じなの!?

まねきねこ

実はそうなんだ。何を目的とした処理なのかを理解すると全部同じだということが分かるよ。順を追って解説していくから楽しみにしててね!

固定資産の売却 定義と一般的なパターン分け

まずは固定資産の売却についての定義と、パターン分けされた一般的な解き方を確認してみましょう!

定義 〜固定資産の売却とは〜

いらなくなった物を売却することは個人であっても会社であっても起こることです。ただし企業が所有している固定資産は減価償却を行っている関係上、少し特殊な処理をする必要があります。

固定資産の売却を行った際の処理を堅苦しく説明すると、以下のようになります。

固定資産を売却したときは、売却価額と帳簿価額の差額固定資産売却損(費用)または固定資産売却益(収益)で計上する。
※帳簿価額:帳簿に記載されている金額のこと。

ちなみに帳簿価額は減価償却の方法によって記載のされかたが異なります。直接法の場合は固定資産の科目に書かれている金額そのままですが、間接法の場合は固定資産の取得価額から減価償却累計額を差し引く必要があります。

まずは間接法を理解することが重要なので、この記事では間接法で減価償却する場合を中心に解説していきます。
間接法が理解できたら、後は取得価額から減価償却累計額を引いた金額を帳簿価額とするだけで直接法の仕訳は完成します。

それではここから、具体的な処理の方法を解説していきます。

処理方法 〜一般的な3つのパターン分け〜

固定資産の売却の処理方法ですが、僕の持っているテキストには以下のようなパターン分けがされて書いてありました。

  1. 売却価額<帳簿価額の場合
  2. 売却価額>帳簿価額の場合
  3. 期中売却の場合

まずは基本を確認するためにこの順番に沿って説明していきます。具体例を挙げつつ解説していくのでご安心ください。

①売却価額<帳簿価額の場合

売却価額<帳簿価額の場合、帳簿に記載されている金額より安く売却したことになります。そのため、差額分が売却損として計上されます。

言葉ではイメージするのが難しいので、具体例を挙げて解説していきます。

中古のPCを売却
  • 取得価額は30万円
  • 減価償却累計額は10万円
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り
  • 固定資産の勘定科目は器具備品

上記のような場合の仕訳がどのようになるかを先に確認しましょう。この後考え方を解説していきますよ!

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
現金150,000/
固定資産売却損50,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ここからはどのような流れで上記の仕訳になるかを解説していきます。固定資産の売却の仕訳を考えるにあたり、まずは帳簿価額を確認します。

帳簿価額を確認
  • 取得価額:30万円
  • 減価償却累計額:10万円

帳簿価額:30万円-10万円=20万円

帳簿価額20万円の固定資産を15万円で売却したことになります。売却価額<帳簿価額となり、帳簿に記載されいている資産の金額より低い金額で売却していますね。そのため売却価額と帳簿価額の差額が固定資産売却損として計上されます。差額を確認すると20万円-15万円=5万円となります。

また、固定資産の取得価額を貸方で、減価償却累計額を借方で書くことで固定資産の金額を減算します。さらに現金で15万円を受け取っていますので、借方に記入することで増加させます。

これらの情報から、先ほども書いた以下の仕訳となります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
現金150,000/
固定資産売却損50,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

売却価額<帳簿価額の場合は売却価額と帳簿価額の差額が固定資産売却損として計上される

②売却価額>帳簿価額の場合

続いて、売却価額>帳簿価額の場合について解説します。この場合、帳簿に記載されている金額より高く売却したことになりますね。そのため、差額分が売却益として計上されます。

今回も先ほどと同様に具体例を挙げて解説していきます。

中古のPCを売却
  • 取得価額は30万円
  • 減価償却累計額は20万円
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り
  • 固定資産の勘定科目は器具備品

先ほどの例とは減価償却累計額が異なっていますね。上記のような場合の仕訳は以下のようになります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
現金150,000/固定資産売却益50,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

今回もまずは帳簿価額を確認していきます。

帳簿価額を確認
  • 取得価額:30万円
  • 減価償却累計額:20万円

帳簿価額:30万円-20万円=10万円

帳簿価額10万円の固定資産を15万円で売却したことになりますね。売却価額>帳簿価額となり、帳簿に記載されいている資産の金額より高い金額で売却していますね。それにより、売却価額と帳簿価額の差額が固定資産売却益として計上されます。差額を確認すると15万円-10万円=5万円となります。

パターン①と同様に固定資産を貸方で、減価償却累計額を借方で計上することで減算します。 また、現金で15万円を受け取っていますので、こちらもパターン①と同様に借方に記入することで増加させます。

これらの情報から、先ほども書いた以下の仕訳となります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
現金150,000/固定資産売却益50,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

売却価額>簿価額の場合は売却価額と帳簿価額の差額が固定資産売却益として計上される

③期中売却の場合

最後に期中売却の場合について解説します。

期中に固定資産を売却する場合、売却をする日までは固定資産を使用していたことになります。そのため、期首から売却日までの減価償却費を算出します。その後で減価償却費を含めて売却時の帳簿価額を確認し、売却価額との差額から売却損益を求めることになります。

こちらも具体例を挙げて確認してみましょう。

簿記の勉強をしていると下記のように問題文で多くの情報が与えられます。ここで重要なのは必要な情報を取りに行く意識です。「固定資産の売却だからあれとあれ、あとはあの情報が必要だな。どこに書いてあるかな?」このように問題から必要な情報を拾いにいくイメージを持って問題を解くようにすると問題に振り回されることがなくなります。

中古のPCを売却
  • 取得価額は30万円
  • 減価償却累計額は20万円
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り
  • 固定資産の勘定科目は器具備品
  • 当期は20X1年4月1日から1年間
  • 売却は20X1年7月1日に行った
  • 耐用年数は3年とする
  • 残存価額は0円とする
  • 減価償却方法は定額法とする

これまでと同様に先に仕訳を書きますね。このような場合の仕訳は以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/固定資産売却益75,000
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

それでは解説していきましょう。

まずは減価償却費を算出します。必要な情報は以下ですね。

原価償却費の算出
  • 取得価額は30万円
  • 当期は20X1年4月1日から1年間
  • 売却は20X1年7月1日に行った
  • 耐用年数は3年とする
  • 残存価額は0円とする
  • 減価償却方法は定額法とする

これらの情報から減価償却費を算出すると、300,000円/3年*3ヶ月/12ヶ月=25,000円となります。

続いて売却時の帳簿価額を確認します。

取得価額が300,000円、期首の減価償却累計額が200,000円、当期の減価償却費が25,000円のため、売却時の帳簿価額は300,000円-200,000円-25,000円=75,000円となりますね。

売却価額は150,000円でしたので、売却価額>帳簿価額となり固定資産売却益が計上されます。その金額は150,000円-75,000円=75,000円ですね。

ここまでの情報から、先ほど書いたように仕訳は以下のようになります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/固定資産売却益75,000
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

期中売却の場合は最初に減価償却費を算出し、帳簿価額と売却価額の差額を確認して固定資産売却損益を計算する。

さて、ここまでで固定資産の売却における解き方をパターン別に解説してきました。

しかしこの記事の本番はここからです。この後は減価償却と固定資産の売却を分けて考えることでパターン分けが不要となる解き方を解説していきます。

パターン分け不要の解き方を解説 減価償却と売却を分けて考える

固定資産の売却はパターン分けすることなくシンプルに考えることができます。結局のところ、どのような取引であっても重要なのは以下の3点です。

  1. いくらの物を
  2. いくらで売却して
  3. いくら損または益が出たのか

そしてここで意識してほしいのは、減価償却と売却を分けて考えることです。減価償却は「①いくらの物を」に関わると言えますが、売却とは別の個別の処理だと考えることでパターン分けが不要となります。

それでは具体的な処理の方法に移ります。処理の方法は、以下の4ステップになります。

  1. 期首の帳簿価額を落とす(減らす)
  2. 減価償却費を計上する
  3. 売却の対価を計上する
  4. 売却損益を計上する

1ステップずつ仕訳を追加していき4ステップ目で完成する、という流れになります。

場合によっては減価償却費が発生しなかったり、損も益も出ない場合もありますが、気にする必要はありません。やることをいつも同じにすることでケアレスミスを減らすことができますし、考える時間を減らすこともできます。

それでは各ステップについて順番に解説していきます。
※処理方法の流れを見た後で具体例を挙げて解説します。

ステップ① 〜期首の帳簿価額を落とす〜

まずは期首の帳簿価額全額を落とします。
※「落とす」とは全額を減らすイメージです。簿記の世界でよく使われるので知っておきましょう。

仕訳は以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額〇〇/固定資産△△
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

固定資産の取得価額を貸方に、期首の減価償却累計額を借方に書きます。これにより帳簿価額を落とすことができます。

この方法の良いところは、帳簿価額を落とすために帳簿価額を確認する必要がないことです。取得価額-減価償却累計額=帳簿価額ですが、取得価額と減価償却累計額の両方を落とすことで結果として帳簿価額が落ちるので、気にする必要がないのです。

この段階では貸借の金額は一致しませんし、気にする必要もありません。

ステップ② 〜減価償却費を計上〜

続いて当期の減価償却費を計上します。期中売却のみ特別扱いすることなく、どのようなパターンでも減価償却費は確認します。
なお、期首の売却については「当期の減価償却費を計算してみたところ、売却したのが期首なのでたまたま0円だった。」という理解の仕方をしましょう。

仕訳は以下のような形になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却費□□/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ここで一点注意点です。固定資産の売却において計上した減価償却費は減価償却累計額には影響しません。そのため直接法でも間接法でも仕訳の形は変わりません。

さらに言えばこのステップ②の仕訳では減価償却費の科目しか登場しません。つまり減価償却費があろうがなかろうがその他のステップの手順には影響しないことになります。そのため売却の時期に関わらず手順を一定とすることができるというわけです。

それではステップ①の仕訳に②の仕訳を追記した状態を確認してみます。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額〇〇/固定資産△△
減価償却費□□/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ③ 〜売却の対価を計上〜

続いて売却の対価を計上していきます。「何をいくら受け取ったのか」を確認して仕訳の形にしていきます。このステップについては難しいことはなく、問題文に指示があるのでまずは確認しましょう。

仕訳は以下のようになります。

借方科目金額/貸方科目金額
当座預金◇◇/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

今回は当座預金で対価を受け取ったとしてみました。その他、現金や未収入金など様々な場合がありますが、そのまま指示通りに使えばOKです。

それではステップ①と②の仕訳に③の仕訳を追記した状態を確認してみます。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額〇〇/固定資産△△
減価償却費□□/
当座預金◇◇/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ④ 〜売却損益を計上〜

最後のステップとして、売却損益をここまでの仕訳の貸借差額から求めます。ステップ①からちゃんと手順通りに仕訳を記入していれば、記入すべき残りの要素は売却損益のみです。そのため貸借差額で売却損益を求めることができるのです。

仕訳の貸借差額から求めるとは

仕訳の貸方合計と借方合計は必ず一致するというルールを利用した計算方法です。残りの科目が1つだけなら貸方合計と借方合計の差額からその科目の金額を求めることができます。

仕訳は以下のような形になります。

借方科目金額/貸方科目金額
/固定資産売却益▽▽
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

今回は売却益が出たケースにしてみました。ただし売却損益については、先ほどから書いているようにここまでに記入した仕訳の貸借差額から求めます。そのため売却益になるか売却損になるか、金額がいくらかは他の科目なしで考える必要はありません。実際の計算手順はここから説明していきますよ。

これで仕訳の材料は揃いました。それではステップ①から④までの仕訳を合わせた状態を確認してみます。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額〇〇/固定資産△△
減価償却費□□/固定資産売却益▽▽
当座預金◇◇/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

仕訳は完成しましたが、これだけではなかなか理解するのも難しいと思いますので、ここからは具体例を見ながら順を追って仕訳を作ってみましょう。

具体例 〜中古PCを売却してみよう〜

それでは具体例を使った確認に移ります。3つのパターン分けに関する説明で使った例を今回も使っていきます。最初の説明と比較するため3パターンと書きますが、全て同じ4ステップで解いていきますよ。

具体例1 売却価額<帳簿価額の場合

まずは問題を確認してみましょう。

中古のPCを売却
  • 取得価額は30万円
  • 減価償却累計額は10万円
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り
  • 固定資産の勘定科目は器具備品
  • 期首に売却

最終的な仕訳の形を先に確認しておきます。この後4ステップで解説していきますよ!

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
現金150,000/
固定資産売却損50,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ①  〜期首の帳簿価額を落とす〜

まずは期首の帳簿価額を落とす(全額減らす)手順からです。ここで必要な情報は取得価額と減価償却累計額でした。

取得価額と減価償却累計額を確認
  • 取得価額:30万円
  • 減価償却累計額:10万円

これらの情報から、仕訳は以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

このステップの良いところは、帳簿価額を確認する必要がないことでしたね。計算は不要で問題文から情報を拾ってくるだけで記入できます。

それでは次のステップに行きましょう。

ステップ② ~減価償却費を計上

この例では期首に売却でしたので減価償却費は0円になります。この場合はステップ②では仕訳の追記は不要となります。
※僕の場合は下書き用紙に0円で記入しておきますが、ここは好みですのでどちらでも構いません。後から見直した時に、「そうか、この問題は減価償却費は0円だったな」と思い出せるようにしています。

0円で記入する場合はステップ①と合わせて仕訳は以下の状態になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
減価償却費0/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ③ ~売却の対価を計上~

続いて売却の対価を計上します。何をいくらもらったかの確認を行います。

売却の対価を確認
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り

これらの情報から、ステップ②までの仕訳に売却の対価の情報を追記すると以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
減価償却費0/
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

さてそれでは最後のステップにいきましょう。

ステップ④ ~売却損益を計上~

最後のステップとして売却損益を計上します。ここまでの仕訳の貸借差額から求めるという方法を使うんでしたね。まずはステップ③までで記入した仕訳を見てみます。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
減価償却費0/
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

次に借方貸方それぞれの金額の合計額を確認してみましょう。

  • 借方:100,000円+0円+150,000円=250,000円
  • 貸方:300,000円

ここで仕訳の合計額は一致するというルールを思い出しましょう。合計額を一致させるために借方か貸方に科目を追加するとしたらどちらにいくら追加すればよいでしょうか。

答えは借方に50,000円ですね。金額の大きい方から小さいほうの金額を引いて、差額を小さいほうに足してあげればOKです。

次に科目が固定資産売却損か固定資産売却益かどちらかということですが、借方に50,000円足すということですので、固定資産売却損ですね。

売却損か売却益か迷った方はこちらの記事をご確認ください。簿記の5要素について解説した入門記事です。「借方=費用」「貸方=収益」というのは迷うことなく判断できるようにしておきましょう。

それではステップ④も追記した仕訳を確認します。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額100,000/器具備品300,000
減価償却費0/
現金150,000/
固定資産売却損50,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

仕訳を書きなさいという問題の時は減価償却費を書かないように気をつけましょうね。

さて、4つのステップで仕訳を完成させることができました。それでは次の例題に行きましょう。この解き方のメリットは「どのようなパターンでも同じ解き方ができること」です。次も同じステップで解いていきますよ。

具体例2 売却価額>帳簿価額の場合

まずは問題を確認してみます。

中古のPCを売却
  • 取得価額は30万円
  • 減価償却累計額は20万円
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り
  • 固定資産の勘定科目は器具備品
  • 期首に売却

続いて先ほどと同じように最終的な仕訳の形を先に確認しておきます。この後4ステップでの解説に入ります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
現金150,000/固定資産売却益50,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ①  〜期首の帳簿価額を落とす〜

最初は期首の帳簿価額を落とす(全額減らす)手順からでしたね。ここで必要な情報は取得価額と減価償却累計額になります。

取得価額と減価償却累計額を確認
  • 取得価額:30万円
  • 減価償却累計額:20万円

これらの情報から、仕訳は以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

このステップの良いところが何だったかというと、帳簿価額を確認する必要がないことでしたね。問題文から情報を拾ってきて記入しましょう。

このステップは具体例1と全く同じ方法でしたね。

ステップ② ~減価償却費を計上

この例においても、期首に売却でしたので減価償却費は0円になります。ステップ②での仕訳の追記は不要ですね。
※先ほども書きましたが、ここで0円と記入しておくかは好みですのでどちらでも構いません。問題を何度も解いて見て、見直した時に「そうか、この問題は減価償却費は0円だったな」と思い出す必要があると感じたら記入しましょう。

0円で記入する場合はステップ①と合わせて仕訳は以下の状態になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費0/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

このステップも具体例1と全く同じ手順でしたね。

ステップ③ ~売却の対価を計上~

3ステップ目は売却の対価を計上します。まずは何をいくらもらったかの確認をしましょう。

売却の対価を確認
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り

これらの情報から、ステップ②までの仕訳に売却の対価の情報を追記して以下のようになります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費0/
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ③も具体例1と同じ手順で記入できました。

それでは最後のステップにいきましょう。

ステップ④ ~売却損益を計上~

最後のステップは売却損益の計上でした。ここまでの仕訳の貸借差額から求めます。まずはステップ③までで記入した仕訳を見てみます。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費0/
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

続いて借方貸方それぞれの金額の合計額を確認してみましょう。

  • 借方:200,000円+0円+150,000円=350,000円
  • 貸方:300,000円

ここで仕訳の合計額は一致するというルールを思い出し、合計額を一致させるために借方か貸方に科目を追加するとしたらどちらにいくら追加すればよいか考えます。

答えは貸方に50,000円ですね。差額を小さいほうに足してあげましょう。

次に科目が固定資産売却損か固定資産売却益かどちらかですが、貸方に50,000円足すということですので、固定資産売却益ですね。

先ほどと同じ記事ですが、売却損か売却益か迷った方はこちらの記事をご確認ください。簿記の5要素について解説した入門記事です。どの要素が借方貸方どちらなのかは迷うことなく判断できるようにしておきましょう。

最後にステップ④も追記した仕訳を確認します。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費0/固定資産売却益50,000
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

仕訳を書きなさいという問題の時は減価償却費を書かないように気をつけましょうね。

さて、具体例2についても4つのステップで仕訳を完成させることができました。同じ解き方ができることを確認していただけたでしょうか。それでは最後に3つ目のパターンも同じステップで解いていきます。

具体例3 期中売却の場合

この例についてもまずは問題を確認してみます。

中古のPCを売却
  • 取得価額は30万円
  • 減価償却累計額は20万円
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り
  • 固定資産の勘定科目は器具備品
  • 当期は20X1年4月1日から1年間
  • 売却は20X1年7月1日に行った
  • 耐用年数は3年とする
  • 残存価額は0円とする
  • 減価償却方法は定額法とする

これまでと同様にまずは最終的な仕訳の形を先に確認しておきます。この後4ステップでの解説に入ります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/固定資産売却益75,000
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ①  〜期首の帳簿価額を落とす〜

まずは期首の帳簿価額を落とす(全額減らす)手順です。必要な情報は取得価額と減価償却累計額でした。

取得価額と減価償却累計額を確認
  • 取得価額:30万円
  • 減価償却累計額:20万円

これらの情報から、仕訳は以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

このステップでは帳簿価額を確認する必要がないことがメリットでした。このステップは具体例1,2と全く同じ方法ですね。

ステップ② ~減価償却費を計上

今回の例では期中での売却になるため減価償却費が計上されます。いくらになるか算出してみましょう。必要な情報は以下ですね。

原価償却費の算出
  • 取得価額は30万円
  • 当期は20X1年4月1日から1年間
  • 売却は20X1年7月1日に行った
  • 耐用年数は3年とする
  • 残存価額は0円とする
  • 減価償却方法は定額法とする

これらの情報から減価償却費を算出すると、300,000円/3年*3ヶ月/12ヶ月=25,000円となります。

算出した減価償却費をステップ①と合わせて仕訳は以下になります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

今回は減価償却費が計上されましたが手順は具体例1,2と同じでしたね。
※具体例1,2は期首売却のためたまたま減価償却費が0円だったということでした。

ステップ③ ~売却の対価を計上~

続いて3ステップ目で売却の対価を計上します。何をいくらもらったかの確認でしたね。

売却の対価を確認
  • 売却価額は15万円
  • 売却価額は現金で受け取り

これらの情報から、ステップ②までの仕訳に売却の対価の情報を追記して以下のようになります。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

ステップ③も具体例1,2と同じ手順で記入できました。

それでは最後のステップで仕上げをしましょう。

ステップ④ ~売却損益を計上~

最後のステップで売却損益を計上しましょう。ここまでの仕訳の貸借差額から求めます。まずはステップ③までで記入した仕訳を見てみましょう。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

続いて借方貸方それぞれの金額の合計額を確認します。

  • 借方:200,000円+25,000円+150,000円=375,000円
  • 貸方:300,000円

次に仕訳の合計額は一致するというルールに着目し、合計額を一致させるために借方か貸方に科目を追加するとしたらどちらにいくら追加すればよいか考えましょう。

答えは貸方に75,000円ですね。差額を小さいほうに足してあげます。

次に科目が固定資産売却損か固定資産売却益かどちらかですが、貸方に75,000円足すということですので、固定資産売却益ですね。

再度同じ記事となりますが、売却損か売却益か迷った方はこちらの記事をご確認ください。簿記の5要素について解説した入門記事です。基礎に関しては確実に理解しておきましょう。

最後にステップ④も追記した仕訳を確認します。

借方科目金額/貸方科目金額
減価償却累計額200,000/器具備品300,000
減価償却費25,000/固定資産売却益75,000
現金150,000/
※各科目を 費用 資産 収益 負債 純資産 で表しています

さて、具体例1,2に続き具体例3についても4つのステップで仕訳を完成させることができました。すべてのパターンで同じ解き方ができることを確認できましたね。

まとめ 〜簿記は勉強の仕方が重要〜

さて今回は、固定資産の売却について書かせていただきました。この記事で解説した方法を復習してみましょう。

  1. 期首の帳簿価額を落とす(減らす)
  2. 減価償却費を計上する
  3. 売却の対価を計上する
  4. 売却損益を計上する

どのようなパターンでも同じ4ステップに沿って解くことができました。場合によっては減価償却費が発生しなかったり、損も益も出ない場合もありましたが、気にする必要はありません。ここで重要なことはやることをいつも同じにすることでケアレスミスを減らし、考える時間も減らすことです。

簿記を勉強するうえではどうしても仕訳や解法を覚える必要があります。しかしどうせ覚えるなら丸暗記ではなく汎用性の高い方法で覚えたいですよね。

この記事が少しでもあなたの簿記の深く楽しい理解を助けることができていたら嬉しいです。

これからも自分の言葉でかみ砕いて簡単に、でも意味や本質に重点を置いてお届けしていきますのでよろしくお願いします!

ではまた!

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